いわゆる信義誠実の原則とは、どのようなものか。民法1条に規定する基本原則に沿って、40字程度で記述しなさい。
権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならないという原則。
民法では未成年者は、制限行為能力者にあたり、原則として法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならず、これに反する法律行為は、取り消すことができるとしている。しかし、民法5条及び6条では、その例外として未成年者が単独で行っても確定的に有効となり、未成年者であることを理由として取り消すことができない法律行為を3つ定めている。1つは「法定代理人が処分を許した財産を処分する行為」であるが、残り2つはなにか。40字程度で記述しなさい。
単に権利を得、又は義務を免れる法律行為及び法定代理人から許可を受けた営業に関する行為
未成年者Aは、法定代理人Bの同意なくCと高額商品の売買契約を締結した(甲契約)。その際、Aは偽造したtaspoカード(成人識別ICカード)をCに提示しており、Cは過失なくAが成人であると信じている。この場合、Bは甲契約をAが制限行為能力者であることを理由に取消すことはできるか。その理由とともに40字程度で記述しなさい。
Aは行為能力者であることを信じさせるのに詐術を用いているため、Bは甲契約を取消せない。
制限行為能力者のうち、成年被後見人とはどのような者か。40字程度で記述しなさい。
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、後見開始の審判を受けた者。
成年被後見人Aは成年後見人Bの同意を得て、Cとある契約を締結(甲契約)したが、その翌日にAは、制限行為能力者であることを理由に甲契約を取消す意思表示をした。この場合、甲契約の効力はどうなるか。その例外とあわせて40字程度で記述しなさい。なお、Aは行為能力者であることを信じさせるための詐術は用いていないものとする。
例①
甲契約が、日用品の購入その他日常生活に関する契約内容でなければ、取消されたことになる。(43字)
例②
取消されたことになる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為は、この限りでない。(44字)
Aは冗談で大切にしている自己所有の50万円のバイクをBに1,000円で売ると真意ではなく言ったところ、Bは飛びつくように1,000円で買う旨の承諾をした。この場合、Aが当該意思表示及び当該売買契約の無効を主張するには、どのような規定によって、どのような要件が必要となるか。40字程度で記述しなさい。なお、錯誤無効には該当しないものとする。
例①
心裡留保の規定によって、BがAの真意ではないことを知り、又は知ることができたことが必要。(44字)
例②
民法93条の規定によって、BがAの真意ではないことを知り、又は知ることができたことが必要。(45字)
Bは、AにB所有の土地の賃貸の代理を依頼したが、AはBの許諾を得て復代理人Cを選任した。その後、Aに破産手続き開始の決定があり、Aの代理権は消滅した。しかし、Cはそのことを知らず、B代理人CとしてB所有の土地を善意・無過失のDに売却し、その代金もCに支払い、Bに支払われた。その後、BからDに当該土地の引き渡しがあった。
Dは表見代理制度を利用し、土地所有権に基づき、土地の所有権移転登記を請求することができる。(45字)
"【設問】
甲が乙に対して負っている債務につきAが連帯保証したが、この乙・A間の連帯保証契約は無権代理人Yによって行われたものである。
YはAの子でA死亡によってAの妻Bが共同相続人となった(Yの相続分は2分の1である)。
Xは乙から本件債権を譲り受けた者である。XはYに対して連帯債務保証債務の2分の1について支払を求めた。この請求はすることができるか。
【答え】 無権代理人が本人を他の相続人と共に共同相続した場合において、無権代理行為を追認する権利は、その性質上相続人全員に不可分的に帰属するところ、無権代理行為の追認は、本人に対して効力を生じていなかった法律行為を本人に対する関係において有効なものにするという効果を生じさせるものであるから、共同相続人全員が共同してこれを行使しない限り、無権代理行為が有効となるものではないと解すべきである。そうすると、他の共同相続人全員が無権代理行為の追認をしている場合に無権代理人が追認を拒絶することは信義則上許されないとしても、他の共同相続人全員の追認がない限り、[ ]。そして、以上のことは、無権代理行為が金銭債務の連帯保証契約についてされた場合においても同様である。"
無権代理行為は、無権代理人の相続分に相当する部分においても、当然に有効となるものではない(44字)
Aが自分に所有権がない事を知りながら甲土地の占有を開始した場合において、所有権の取得時効が成立するにはどのような要件が必要となるか。40字程度で記述しなさい。
Aが20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地を占有すること。(38字)
AはBの所有地を所有の意思をもって、平穏かつ公然に5年間占有を続けているが、3年目の1年間はCに賃貸している。
Aが、占有の開始の時に、善意、無過失であれば、後5年間の占有で所有権を取得する。
交通事故の被害者であるAは、その加害者たるBを被告として損害賠償請求訴訟を提起した。Aの請求内容自体は適正、かつ、正当なものではあるが、唯一、既に時効の期間が経過しているという問題点がある。Bが時効の援用をしていない場合、民法145条によれば、どちらが勝訴することになるか。理由とともに40字程度で記述しなさい。
裁判所は、当事者が時効を援用しなければ、これによって裁判できないため、Aが勝訴する。
民法145条は、「時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。」と規定しているが、消滅時効においては「当事者」としてどのような者が含まれているか、具体例をあげて40字程度で記述しなさい。
保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。
"次の【事例】において、XのYに対する時効はどうなって、どのような権利に基づき、どのような請求をすることができるか(若しくはできないか)を、40字程度で記述しなさい。
【事例】
YはXから100万円を平成○○年×月△日を弁済期として消費貸借契約を締結した(公正証書あり)。しかし、弁済期には弁済がなく、弁済期から11年近く経った平成○○年×月△日にYはXに対し手紙で「本件借金を元本だけにまけてもらいたい」旨を申し入れている。
その後、Xは当該公正証書に基づき、Y所有の動産に強制執行したが、Yは本件借金は10年の時効による消滅していることを主張している。
"
時効の援用は許されず、消費貸借上の貸主の権利行使として、貸金の返還を請求することができる。(45字)
Aが失踪宣告を受け、Aの妻Bが生命保険会社Cから保険金500万円を受け取り、そのうち100万円を生活費として費消し、200万円は遊興費として費消したため、残額は200万円となった。この状況において、Aの生存が明らかになったため、失踪宣告は取り消され、同時にCからBへ保険金の返還請求がなされた。この場合、Bはどのような理由で、いくら返還する必要があるか。失踪の宣告の取消しにおける財産の返還義務について規定している民法32条2項及び判例の趣旨に沿って40字程度で記述しなさい。なお、BはAの生存について善意であったものとする。
例①
Bは、現に利益を受けている限度で、返還義務を負うため、300万円をCに返還すればよい。(43字)
例②
現存利益に生活費は含まれるが、遊興費は含まれないため、Bは300万円をCに返還すればよい。(45字)
制限行為能力者と契約をした場合において、その相手方は「その取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告」(以下単に「催告」という。)をすることができるが、相手方が制限行為能力者の法定代理人に対して、催告した場合に、追認が擬制されるのはどのようなときか。40字程度で記述しなさい。
相手方が、1ヵ月以上の期間を定めて催告し、法定代理人がその期間内に確答を発しないとき。(43字)
民法111条では、代理権の消滅事由について規定しているが、そのうち代理人に生じた事由により、法定代理権が消滅するものにはどのようなものがあるか。40字程度で記述しなさい。
代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。(39字)
法定代理と任意代理では復代理人の選任について違いがある。法定代理では、法定代理人は自己の責任で自由に復代理人を選任することができる。これに対して、任意代理では、任意代理人は「 」。
本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任できない(43字)
代理人が、代理人の権限内の行為について、本人のためにすることを示さないで相手方に意思表示をしたときは、原則としてその効果は本人に及ばず、自己のためにしたものとみなされる。しかし、その例外として本人のためにすることを示さないで相手方に意思表示をしていても本人に対して直接にその効力が生ずる場合がある。それはどのような場合か。40字程度で記述しなさい。
相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができた場合。(36字)
"
次の【A契約】及び【B契約】において、「 」内の目的物の所有権の移転時期はそれぞれいつになるか。40字程度で記述しなさい。なお、物権変動に関して、特約及び特段の事情はないものとする。
【A契約】
CはAに対して、A所有の「甲土地」を購入したいとAに意思表示をし、Aはそれを承諾した。後日、売買契約書を作成し、その翌日にCはAに代金の支払いと移転登記を済ませ、その一週間後に「甲土地」の引渡しがなされた。
【B契約】
CはB米店に対して、電話で「米100キロ」を購入したいとB米店に意思表示をし、B米店はそれを承諾した。後日、CはB米店に出向き、「米100キロ」を特定し、その翌日にB米店の配達によって「米100キロ」の引渡しがなされ、その際に代金を支払った。
"
例①
A契約ではAの承諾により意思表示が合致した時、B契約では米100キロを特定した時に移転する。(46字)
例②
A契約では契約が締結された時、B契約では目的物を特定した時に移転する。(35字)
"Aは鰻問屋を経営するBに対して、電話で「活天然ウナギ100匹(以下『鰻』という。)」を購入したいと意思表示をし、Bはそれを承諾した。
後日、AはBの店に出向き、鰻を特定し、その翌日に代金を銀行振込みで支払った。そして、その1週間後にBの配達によって鰻の引渡しがなされた。この場合、鰻の所有権がAに移転するのはいつか。また、Bは鰻の保管に関し、いつからいつまでどのような義務を負うか。40字程度で記述しなさい。なお、所有権移転に関する特段の定めはないものとする。 "
鰻を特定した時にAに移転し、保管に関し特定された時から引き渡すまで善管注意義務を負う。(43字)
A所有の甲土地をAがBに譲渡したが、B名義の所有権移転の登記が行われていないことを知ったCが、それを奇貨として、高値でBに売りつけて利益を得る目的でAから譲渡を受け、C名義の所有権移転登記を経由し、更に当該甲土地をCがDに譲渡しD名義の所有権移転登記が行われた。この場合、Bは所有権者であることを登記なくしてC及びDに対抗できるか。40字程度で記述しなさい。
例①
Cには対抗できるが、DにはDがBとの関係で背信的悪意者と評価されない限り、対抗できない。(44字)
例②
Cには対抗できる。DにはDがBとの関係で背信的悪意者と評価されたときに限り、対抗できる。(44字)
"次の【説問】を読み、【答え】の中の[ ]に適切な文章を40字程度で記述して、設問に関する解答を完成させなさい。
【設問】
A法人は、Xより甲地を買い受け、登記も了した。その後、AはYに当該土地を譲渡した。ところが、その後、AX間の売買契約がAの代表者Bの詐欺に基づくものであったので、XはAに対して、本件売買契約を取り消した。善意のYは登記なくして当該土地の所有権をXに対抗することができるか。
【答え】
善意のYは登記なくして当該土地の所有権をXに対抗することができる。というのは、AX間では詐欺による取消しが行われても、Yとの関係ではXの意思表示は取り消されず、Aは有効に権利を取得したものとみなす趣旨であるから、結局当該土地は[ ]。
"
XからAYへと転々譲渡されたことになり、XYが対抗関係に立つわけではないからである(41字)
AがBの倉庫に保管している商品をCに売却した場合において、当該商品をBの倉庫に保管したままAからCに占有権を移転させるには、どのような要件を具備する必要があるか。40字程度で記述しなさい。
AがBに対して以後Cのために商品を占有することを命じ、Cがこれを承諾すること。(39字) 民法Ⅱ5 物権